タブーへの挑戦(背骨にヒビの日々)

〇〇な場所で〇〇をしてみる

という実験は、わりと好きで色々やって来た。

「吊り橋の上で生ビールを飲む」

とか

「干潟でイタリアンする」

とか

「お風呂でごはんをたべる」

とか

「自転車の上で生活する」

とか

 

でも今回の事故で入院することになって

「ベットの上で生活する」

をすることになった。

病院に担ぎ込まれて3日目。

2〜3週間はベットから出ずに安静と決まったときに

色々吹っ切らなければいけなくなった

まず一番に吹っ切らなきゃいけなかったのが3日目まで我慢していたトイレ

もしかしたら数日でトイレに行けるかもと思っていた僕はその日まで我慢しようと思っていたわけです。

でも、2〜3週間ときいたとき、絶対我慢できない!

これは自分の中の概念を変えていかなければいけないと

覚悟を決めなくてはいけなかった。

まずは情報収集

レントゲンに向かうとき看護師さんに

「大の方ってどうやってやるんですか?」

すると

「ベットの上で使えるお尻の下に差し込む形のトイレがあるんです」

という、回答が。

そうなのか。まじでベットの上でするのか。

母が「あんたは神経質だから、おねしょもすぐしなくなったんだよ」

と言うくらいで、所かわるとだめという、見た目からは想像つかないデリケートな部分がある自分が、この壁を突破するのは容易ではないと思ったのです。

 

小のほうすら最初はドキドキしました

本当にこれ、ビャッて漏れたりしないのだろうか?

音とか丸聞こえじゃないか!

面会の人とかいるし、カーテン一枚だし、

今この格好でカーテン開けられたらやばい

とか色々思うのだけどなにより

ベットの上という布に囲まれた感触が気持ちの良いこの空間で

尿を出すスイッチを入れるのにものすごく違和感があったのだ。

フリーダイビングをして水深20メートルでおしっこをしてみたとき

川の中に浸かりながらおしっこをしてみたとき

など、わりと尿を出すスイッチを入れる実験はしてきた。

最初はやっぱり環境が変わると出しかたがわからなくなったりするのだけど、

ちょっとしたコツで出せるようになったのを思い出した。

尿瓶の形状を理解して、この角度ならもれないとかどうやってパンツを下ろしてどこに置いてどうやって取り出してベット脇のカゴに戻すのかをシミュレーションして、

やっとのことスイッチを入れることができた。

 

小でこれだけ大変だったのに、

ここから大をベットでするなんて、相当な意識改革をしなくてはいけない。

そのために、情報が必要だった。

どんな状態でどうやってするのか?

差し込み式の便器ってどんなものなのか?

ググる。

調べるれば調べるほどはっきりする

「ほんとうに、ベットの上で大をするのだ」と

ナースコールを押して「大の方お願いします」って言えばいつでも始まるわけだけど

こっちの準備ができていない。

ナースコールが押せない…

 

なので「何が準備できていないのか?」

まずはそこを整理しようと思った。

 

そして気になっていることを整理してみると、こういうことだった

(人気があって恥ずかしい)=(音)+(匂い)

看護師さんにどうこうされること自体はもう受け入れられるようになって来た。

しかしどうしても、他の人気がきになる。カーテン越しに(音)+(匂い)が出て行くのが嫌なんだなと。

これを解決するには夜。消灯してからするしかない!

2日半溜まって破裂しそうな大をもう少し頑張って消灯の時間を待つことにした。

大をずっと我慢しているのだから、人にも優しくなれなくなる。

そんなときに限って、いろんな人が話しかけてくる

「なんかつらそうだね」

骨が痛いとかじゃなくてじつは大を我慢しているからなんだけど

言うこともできない。

ひやあせがながれる。

 

やっとの思いで消灯を迎え、みんなが寝始めた頃

意を決してナースコルに手をのばした。

「どうしました?」

「あの、大の方してみたいんですが」

「ちょっとまってくださいねー」

そして差し込み式便器登場。

思っていたより小さい

これに僕の3日間の全力が入りきるのか?

ふあんなまま

「はじめてですか?」

「そうなんです」

「じゃあ、準備しますね」

って感じでベットの上でベットのリクライニングで上半身をおこし、

ベットとお尻の間にトイレを差し込む

「おわったら呼んでくださいねー」

と看護師さん退出

ところが、今にも出そうだったのになかなか出ない。

あれ?出しかた忘れた?

僕の神経質がここで発動した。

布団の上で出すと言うこと自体に体が抵抗しているのだ。

体にこびりついたタブーを外さなくてはいけない。

 

この数日間で、看護師という人たちがどれだけ大変でどれだけすごい仕事なのかを

ものすごく感じていた。

看護師さんを信頼できるようになっていた。

となりの人のあれこれは、聞こえてくる。

おかげで開き直ることができた。

「あとはなんとかしてくれる」と

そう思った瞬間に、3日分のものが一斉に脱出

そして、ナースコールを手にして助けを呼ぶ。

「終わったんですけど、身動きとれません」

 

 

今日もヒビアトリエに来ていただいてありがとうございます!

     

差し込み式の便器

もっと良いものが作れる気がして

デザインしてみたくなりました。

 

 

 

 

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